理念・概要
海辺で貝殻を見つけて手にしたときのうれしさを経験したこがありませんか。偶然見つけることができた幸せや、自然が作り出した色や形の美しさは私たちを魅了して、大人でもわくわくしてしまいます。
真鶴町立遠藤貝類博物館では、その貝殻の魅力を最大限に感じてもらえるよう、シンプルな展示をしています。入館されたみなさま一人一人にそれぞれの視点で楽しんでいただきたいと思います。
相模湾に突き出た真鶴半島は、町の半分は四方を海に囲まれ、豊かな海の自然に恵まれています。しかし昨今、津波などの自然災害や子どもの遊びにおいても安全管理が重要視される中、海の生物や生態系にも触れる機会が少なくなってきました。
当館では、日本のみならず世界中の様々な色や形の貝の美しさやおもしろさに触れていただくことで、海や自然の魅力をご紹介します。
展示の中から、いつか海で見つけた貝を探したり、自分の好きな貝を見つけたりと、楽しみ方は数え切れません。なぜそれほど美しいのか、どのようにして作られたのか、そう考えているうちに、不思議な輝きを放つ貝の魅力に誘われ、海や自然がより興味深く、より身近なものに感じていただければと思います。
遠藤コレクションについて
遠藤晴雄 氏
本館は、貝類研究家 遠藤晴雄氏が生涯をかけて収集した標本4,500種、50,000点を所蔵しています。
遠藤氏は、真鶴町岩地区(当時は岩村)に生まれ、幼少の頃から海の自然や生物に触れて育ちましたが、中学時代の細谷角次郎氏との出会いをきっかけに、貝類の魅力にさらに強く惹かれるようになり、本格的に貝類収集をはじめるようになりました。
学校卒業後は公立小中学校教諭として理科教育の指導にあたり、真鶴村と岩村合併の際は真鶴町の初代教育長を16年務めるなど、理科教育の普及や教育行政にも熱心に取り組まれました。その後、91歳で亡くなるまでには、海外の貝類の収集にも注力し、全世界で30種が知られるうち27種を収蔵する「オキナエビスガイ類」は、当館のメイン展示となっています。
コレクションは遠藤氏の自宅に私設の「遠藤貝類博物館」として展示されていましたが、真鶴町に譲り受けたのち、2010年に「真鶴町立遠藤貝類博物館」として開設しました。
展示紹介
第一展示室
真鶴・相模湾の貝/海辺のジオラマ
真鶴の海で見つかる貝と相模湾に生息する貝を展示しています。
入って左手には、本館の目の前に広がる三ツ石海岸の磯のジオラマが展示されています。たくさんの生物が暮らす、豊かな真鶴の海をご紹介します。
第二展示室
日本の貝/オキナエビス
北海道から沖縄まで、日本各地の海に生息する貝を展示しています。南北に長い日本列島は、生息する貝の種類もさまざまです。
また、本館のメイン展示「オキナエビス」は、化石で見つかる姿が、現在生きているものとほとんど変わらないことから「生きている化石」ともいわれ、貴重な標本です。
第三展示室
世界の貝
日本では見つけることのできない珍しい貝を展示しています。色や形はもちろん、その大きさも日本で見つかるものとは違っているところも注目です。
第四展示室
海で生きる生物/企画展
貝類のほかにも海に暮らすさまざまな生物たちの標本を展示しています。ふだん目にする陸上の生物とは、見た目だけでなく、生活の仕方も異なります。
企画展期間中は、特別展示を行います。